soreto_spice は、現在準備中です。

2018/02/07 21:44

今回はメースについて書きたいと思いますがみなさんはメースという名前を聞いたことがあるでしょうか?私は飲食に携わるまでは見たことも聞いたこともないスパイスでした.
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メースはニクヅク科の常緑樹で東インド諸島、スリランカなどが主産地です.アプリコットに似た果実から採れ、その果実の中には黒色の種子があり、種子の周りを赤色の網目状の仮種皮が包んでいます.その仮種皮がメースです.ちなみに種子を割った中の仁(じん)も別のスパイスとして使用されていますがそちらはナツメグと呼ばれます.
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そう、メースとナツメグは同じ植物から採れるスパイスです.クローブ、胡椒、シナモンと並び4大スパイスと呼ばれることもあるナツメグですので聞いた事がある方も多いのではないでしょうか.一般的にはパウダーで流通していることの多いナツメグですが硬い木の実のようなスパイスで削って使用します.用途としてはハンバーグや、シチューなど動物性の匂いの臭み消しに使われることが多いスパイスです.
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和名ではナツメグとメース共に肉荳蔲(ニクヅク)と呼ばれ英名のナツメグはnut(木の実)+meg(ムスク)や中世英語のnotemugeが語源とされ「ムスクの香りの木の実」という意味です.
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ナツメグは甘い香りとほろ苦さが特徴ですが、メースも同じ植物から取れるだけあって似たような芳香をもちます、しかしナツメグよりも刺激が少なく繊細な香りが特徴です。香りを柔らかく香りをつけたい時、乳製品などと合わせて色をつけたくない時など淡い色の料理にはメースを使用するといいと思います.
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熱帯地方原産で海の匂いのするところでしか育たないと言われたり、雌株と雄株に分かれており雌株からしか結実しないなど昔は産地以外で育てることは難しく、消費国は産地からの輸入に頼っていました.その中で輸入業者は利益を独占するためにメースとナツメグが同じ植物であることを隠し別々のスパイスとして輸入していました.その為消費国側も同じ植物だとは知らなかったようです.なので消費国は、より高価であったメースの生産数を上げるため産地に対して『ナツメグの樹を切ってメースの苗を植えろ』という指示をしたという話も残されています.